木村拓哉が主演のテレビドラマ「華麗なる一族」、一月14日の第一回放送以来久しぶりにこのドラマを見た。もう最終回を迎えていた。木村拓哉の演技を見たさにこのドラマを見たが、早速ドラマの虜になった。
第一回放送の後すぐに本屋に走った。上、中、下といっぺんに買おうと文庫本のコーナーで探したが、「上」だけが売り切れだったことを覚えている。とにかく三冊揃って買った。たまたまアメリカ、ツーソンの旅行にこの本を持っていくことにした。 時間差のため眠れない夜の空白の時間を、この小説が心地よく埋めてくれた。 この小説を20年前に読んでいたら、息子、鉄平の心の痛みを、自らも感じ鉄平になりきっていただろう。しかし今、読み進むうちに、この貪欲に自己の野望を追い求める父、万俵大介が、息子、鉄平への特異な感情や苦悩する姿に、私自身をどこかで重ねていたように思う。 人間の本来持つべき「哀れみ」「やさしさ」「おもいやり」一切を捨てた野心の塊、万俵大介の生き方がこの一族を翻弄していく。それは、他人(ひと)が見ると腹が煮えくりかえるほど憎むべきものである。それが山崎豊子が描きたかった、人間本来持つ悪の性根だろう。 しかし私には、万俵頭取の謀略のため、大同銀行を追われることになる、三雲頭取が言った『企業発展のためには、肉親でも何でも、人間的なもの一切、犠牲にし、置き忘れてしまっていいものでしょうか、人間性を置き忘れた企業は、いつか、何処かで必ず、躓(つまず)く時が来るというのが、私の信条です。』この言葉が私の心の奥に今も残っている。 「華麗なる一族」この重厚な本との出合いも木村拓哉さんのお蔭である。ありがとう。
by shikanko
| 2007-03-20 00:08
| 社長ブログ
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