『朝の通勤時間、地下鉄のプラットホーム「白線の後ろにさがってお待ちください」。列車の到着のアナウンスが流れている。 前には初老のサラリーマンらしい男性が列車の到着を待っていた。その時その男性が突然よろめきながら線路上に転落した。 プラットホームの左先方を見ると列車はトンネルから駅に入らんとしていた。目の前が真っ白になった。夢中で線路に飛び降りた、男性を抱えてプラットホームの下にもぐった。その一瞬急ブレーキの金属音を立てながら眼前を列車の車輪が通りすぎた。数秒後列車は停車した。プラットホームは騒然となっていた。駅員が「大丈夫か」と大声で生死確認していた。「大丈夫です。」出来る限りの声を張り上げた。 構内の大勢の群集から興奮と称賛の拍手が起きた。』 私はこんなことを列車を待つプラットホームで何度となく空想したことがある。 しかしもし現実に起こったら、足がブルブル震え身動きも出来ず、その人を見殺しにしている自分がいるだろうと思うと、身震いをするのである。 さてその現実がおこった。所はニューヨークの地下鉄。線路に転落したのは19歳の専門学校生キャメロン・ホロピーターさん。 彼を助けたのはウェズリー・オートリーさん50歳だ。ホロピーターさんは発作を起こし線路に転落した。その時電車の到着を告げる信号はまさに点滅していた。転落を目撃したオートリーさんが身の危険を顧みず救出した。その記事を追うと彼は二人の娘と電車を待っていたとある。そして近くにいた女性に子供を預けて線路に飛び降りた。 レールとレールの間のすきまにホロピーターさんを押し込め、自らもその上に覆いかぶさった。運転手は急ブレーキをかけ、車両は二人の真上を通過して、停車した。と、車両の下から声が上がる。「娘たちに伝えてくれ。お父さんは無事だって」 オートーリーさんは今「地下鉄のスーパーマン」と呼ばれ全米で時の人になっている。 もちろんニューヨーク市長は市民の最高の勲章である「ブロンズ・メデリオン」を贈って称えている。 しかし彼は謙虚に「助けを必要としている人に手を貸しただけ。特別なことはしていない。自分が正しいと思ったことをやっただけ。」と言っている。 彼はハーレムに在住という。決して裕福ではないだろう。だが彼の言動は偉大な人物が持っている風格を感じる。 こんな立派なことをして謙虚でおられるオートリーさん、あなたはアメリカ中の人に勇気を与えたことでしょう。そしてこれを知った世界中の人々も、もちろん私も。 ありがとう。
by shikanko
| 2007-01-19 19:51
| 社長ブログ
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